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おうち、てらす

外へ引っ張りだすのではなく、寄り添うこと:ひきこもり支援への思い

対話。
これが、佐々木克彦さんのひきこもりの支援・相談の活動のキーワード。
彼がその活動に込めた思いを、伺いました。

佐々木克彦さん
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佐々木克彦【ささき・かつひこ】さん

1978年、神奈川県平塚市出身。
専門中退後、当時最先端?である、ニート期間2年を含む、
8年間のフリーター生活を送る。
就職後のパワハラ等をうけ精神的に病むことがあったが、
立ち直る。その時の経験と、紆余曲折を経て、現在は
ひきこもり支援相談士としてカウンセリングを行う傍ら、
障がい者の自立支援なども行う。

【相手を外へ引っ張りだすのではなく、寄り添うこと】
を軸として、社会構造にまで風穴をあけるような、
ちょっと変わった人生を邁進中。

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対話を大事にする

 

ーどんな活動をされているのですか?

ひきこもりの支援・相談です。ひきこもりというと不登校が最初に浮かぶかもしれないけれど、
僕が主にやっているのは、大人になってからのひきこもり。
30代とかで、仕事を辞めてしまってこもっているような人たちの家に行って、話をする。
本人や、あるいは家族と、どういう風に自立までの道筋を作っていけるかを一緒に考えています。

 

ーどういう経緯でひきこもりになるケースが多いのですか?

ざっくり分けると、タイプが2つあります。

1つめが、社会人になって挫折をしたような人たち。その挫折のために今はひきこもっているんだけれど、
気持ちとしては「何かやりたい」「一歩を踏み出したい」。
でも、そのやり方がわからずにいるんです。
だから僕と対話をして、先々のことをどうしていきたいか、そのためには、そこから逆算して
今から何をしようかということを一緒に考えて導き出します。
「この月までにはここら辺までやっておこうね」というロードマップを作る。

2つめのタイプは、無気力。
彼らは、「もう、何もしたくない」「自分なんか存在価値がない」と思ってしまっています。
そんな状態だとあんまり先のことは考えられないから、まずは「楽しい」という感覚を思い出してもらう。
どんなときに「楽しい」と感じられるのか、自分がどういうことに興味を持てるのかを探るために、
やっぱり対話ですね。
「子どものときはどういうものが好きだったの?」
「どんな夢をもっていた?」
「なんでその夢はダメになっちゃったのか?」
本人が自分で整理できていないことがいろいろあるので、それを対話の中で一緒に整理して、
自分がどんなことをこれまで考えてきたのかを、ちょっとずつ思い出していく作業をします。
まずは自分で「これがやりたい」と思えるような状態まで持っていくのが最初のステップです。

 

ーどんな風に対話をするのですか?

短い時間でいいから、数を増やすことがなにより大事。
もちろん向こうが話したいのであれば、時間が許す限り話すし、話したくないというときはそれでいい。
行ってみたけど反応がないなんてこともあるけれど、それでも一応話しかける。
「今日こんなことがあったよ」というようなことを一方的に5分くらい話して、
「じゃあ、また次回ね」というふうに。

毎日ってわけにはなかなかいかないけれど、たとえば月曜日なら月曜日と決めて、
毎週決まった時間に話す機会をつくるようにしています。

約束をするんです。
そうすると本人も、小さなことだけれど約束を守れたという達成感、成功体験
得ることができますよね。そういうことの積み重ねが大事なんだと思います。

 

ー対話のなかで気をつけていることは?

相手を外へ引っ張りだすのではなく、寄り添うこと。
しっかりと、その人の価値感を見るようにしています。
その人が置かれた状況が今どんな感じか、過去はどうだったのか。
過去に思い描いていたことと現状にどんなギャップがあるか。
どんな将来にしたいのか。

過去は変えられないから、将来に向かってこれからどうしていきたいかを考えます。
将来のありたい姿を、対話を通して、本人に気づいてもらうことが大事
本人が自分で、「ああ、そうだ。こうしたいんだ」と思ってもらえるように
とことんまで話を掘り下げる。
なので、「あなたはこれがやりたいんじゃない」というようにこっちから決め付けたりとかはしません。

そして、楽しい会話になるように心がけています。
楽しい雰囲気をつくって、向こうから話してくれるようにする。
最初全く喋らない人や話したがらない人なんかには、まずは自分のことを話しますね。
僕は今までこうで、どんなことをしたいと思っているのか、
だから今こういうことをやっていますよ、ということを軽く話して。
正解はないんですけれど。

 

ー活動をしていて喜びを感じるのはどういうときですか?

やっぱり、今まで話してくれなかった人が、自分がやりたいことを話してくれるようになったときは嬉しいですね。
あとは、それを自分の言葉で親御さんに説明しているのを見たとき。
僕から伝えるのでは意味がないんです。
その人なりの伝え方で、親御さんに伝えようとしている姿を見たときは
「もうここまでできるのだから、この先挫折とか大変なこともあるだろうけれど
そういうことへの耐性は備わっただろう」と思う。

 

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