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生きざまクリエイターの野望

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二つの顔をもつ男がいる。

 

平日は「お堅い仕事」をする一方で、「生きざまクリエイター」という一風変わった肩書きで、週末や仕事終わりに精力的に活動をされているのは、チョーノ・コージ氏。

わたしと彼との出会いは、遡ること2年前。当時参加していた、スリール株式会社のワーク&ライフ・インターンで出会ったメンターに誘われるがままに、とあるイベントに訪れました。三軒茶屋の小さな会議室に、参加者は30名弱。そこにワークライフバランス(以下、WLB)&ダイバーシティ研究の権威である渥美由喜さんが登壇するという、実に豪華な空間でした。そしてその空間を実現しているのが、チョーノさんという人物だったのです。

スリールの卒業生と、株式会社ワーク・ライフバランスの社員+インターン生が多く集うこのイベントは2〜3ヶ月に1度の不定期開催。なお、わたしは現在10回連続参加記録を更新中です。

 

今回は、そんなチョーノさんの生きざま観を徹底聴取しました。

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ー2年間聞きそびれていましたが、どういう経緯で「生きざまクリエイター」になられたのでしょうか。

自分でイベントをやるようになって、「何者か?」を聞かれることが多くなったんですよね。そういうときに、一言、フレーズとして何か言えたらいいなと思って、思いついたのがこれ。もともとは「生きざまWLB」っていう私なりの概念から派生した肩書きなんですよ。

 

ーそうなんですか。イベントの名前もそういえば「生きざまWLB」ですね!

「WLB」って誤解を受けやすいんです。人によっては、定時で帰ることとか集中タイムをつくることそのものをWLBと言ったりするのだけれど、それは手段が目的化しちゃっている。そうじゃなくて、「じゃあ空いた時間に何をしたいの? あなたは一体どういう人生を歩みたいの?」がないと、何のために早く帰るのかわからない。やらされているWLBって、絶対にいつかはやらなくなるんです。「自分が何をしたいか」というものがないから、流される。

 

ーなるほど。

逆にあると、どんどん自分の中にやりたいことが出てくるから帰りたくなるんですよ。「生きざま」なくしてWLBあらず、それが「生きざまWLB」。じゃあ「生きざまWLB」をやってる私はどう名乗ろうかと考えたときに、プロデューサーとかディレクターとかエディターとかインテグレーターとかインキュベーターとかいろいろ思い浮かんだけど、「クリエイター」がシンプルで笑えるかなと。

 

ー笑いを求めて。

そうだよ(笑)こんなのはジョークだからこそ、いいんだ。

「二枚目の名刺」なんて真面目に考える必要はないよ。仕事が堅苦しいのに、趣味まで堅苦しくする必要はない。特に私の場合、本業がジョーク御法度な世界なので余計、ね。首尾一貫こんな感じなんですよ。自分の行動のとっかかりはユーモアに基づくものなんだけど、何かに対する反骨精神が裏にはありますね。

 

ーパンクですね。

元パンクバンドのボーカルでしたから。座右の銘は「デストロイ」だったし(笑)

 

ーチョーノさんがそもそもWLBに関心を持たれたきっかけって、何だったんですか?

これはね、話すと長くなるんだよ。どうする?(笑)

 

ー聞かせてください。

職場で人事担当をやっていたことがあって、採用の仕事で就活生を相手にしていると、彼ら彼女らの生き生きとした表情がすごくまぶしかった。でも、入って2、3年もすると「たそがれ」てくるんです。しまいにはメンタルで病んでしまったり。

そんなふうに若い人たちを潰す組織に憤りを感じて、自分にできることを求めてメンタルヘルスや組織マネジメントの勉強をしたんです。そうすると、WLBがテキストに出てくるんですよ。それが最初の出会いでした。で、さらにWLBを勉強しようと思って本屋に行ったらちょうど小室淑恵さん(※1の本しか置いていなくて。何で著者の写真がこんなに大きく表紙に載っているんだろうと思いながらも手に取ると、ワークとライフは「シナジー」だって言う。「バランス」じゃないと。すごく素晴らしい考え方だなと思ったね。

よく、「どっちかがよければそれでいい」なんて言いがちなんですよ。でもね、ワークとライフが同じくらいの時間を過ごさなくちゃいけない時期がある。それが片方だけつまんなかったら、その時期の人生は半分つまんないってことでしょ。

(※1)小室淑恵さん:株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長。福利厚生ではない、経営戦略としてのWLBを全国に展開する。

 

ーそうですね!

両方楽しんでこそだと気づかされた。それからですよ、WLBに目覚めたのは。

 

ーいろいろなセミナーに行かれていますよね。

メンタルヘルスへの対応という観点で、傾聴スキルの研修をやっているNPO法人Light Ring.さん(※2に出入りし始めました。そのときに初めてNPOの活動というものを肌で知ったんです。興味がわいたんですよね、あの人たちって何を目指し、どうやって生きてるんだろうって。彼らはニッチな課題をみんなに知ってほしいから、ふらっと迷い込んできた私のような人も温かく迎えてくれる。そういうNPOの懐の大きさやアットホームな感じがすごく好きになった。

また、WLBという同じ志の人に出会いたいと思って、駒崎弘樹さん(※3が当時やっていたWLB研究会という勉強会の会員になった。WLBの手法を勉強するんだと思っていたのに、ある回のゲストで、どう考えてもそれと関係ないNPO法人Bridge For Smileの林恵子さん(※4が出てきたんですよ。真意のわからないまま、駒崎さんが薦めるくらいだからと思って聞きにいったんです。児童養護施設のこともろくに知らずに。

(※2)NPO法人Light Ring.:『誰もが自分の望む幸せを掴むことのできる社会』の創出をビジョンに掲げ、心の病の予防に取り組む団体。

(※3)駒崎弘樹さん:NPO法人フローレンス代表。病児保育を始めとして、小規模保育や特別養子縁組など「社会を変える」アクションに取り組んでいる。

(※4)林恵子さん:NPO法人Bridge For Smile代表。社会的養護のもとにある子どもたちへの自立支援や奨学金給付などを行っている。

 

ーそうだったんですか。

そしたら、ショックを受けた。

児童養護施設の課題とか問題点とか、私はなんにも知らなかった。家の近所にもあったのに知らなかった。それがショックだった。人間って、関心がないと見えないんだなって。そう気づいたら、現場にはどんな課題があるのかに興味が出てきた。私はあまりにも知らなさすぎた。社会のためにと「お堅い仕事」をしていながら、現場のことを知らないなんて。

これじゃいけないと思って、それからはいろんなものに目を向けようと思ったんです。Light Ring.から自殺対策支援センターライフリンク(※5へつながって、そこからさらにNPO法人BONDプロジェクト(※6っていう新宿や渋谷で徘徊している少女たちをサポートする団体など、いろいろ顔を出すようになった。それらを通して気づいたのは、世の中にはいろんな課題があって、それらはあまりにも社会に知られていないけれど、NPOの人たちが一生懸命向き合っているということ。

そういう人たちをもっと増やしたい。そんな仕組みを作りたい。社会的な課題に目を向けるような働きかけをしたい、それが「生きざま」を始めた理由の一つでした。

 

(※5)自殺対策支援センターライフリンク:自殺総合対策・自死遺族ケアの推進、自殺予防・防止のための啓発活動に取り組む団体。

(※6)NPO法人BONDプロジェクト:10代・20代の生きづらさを抱える女の子のための、女性による支援を行う団体。

 

ーところで、「生きざま」にくる人たちって、スリールの卒業生が多いイメージなんですが、いかにして今のような構成になったのでしょうか?

スリール卒業生は、株式会社ワーク・ライフバランスの社員&インターン生に並ぶ一大勢力ですね。きっかけは、Tさんですよ。TさんはWLBの私の同志なのですが、彼女が、彼女の家に来るスリール生たちを私のイベントに連れて来てくれるようになったんです。あれよあれよと言う間にスリールコミュニティ内での「生きざま」の認知度が高まって、川瀬さんも来てくれた。

 

ースリールで、今まで見てこなかったものを見せられるんですよ。でも世の中でそれを見ている人って多数派ではないので、スリールを卒業して「さて次に何をしよう?」と思って飛び込んだ先で、自分が見てきたものに共感してくれない人たちにまた出会う。だから葛藤するんですよね、現実はこれかと。「生きざま」はそれを受け入れてくれる場所なのかなって。

正しい、正しいよ!

 

 

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