ステップファミリーから家族関係を読み解く

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子どもの家族的資源を奪わない

ー今「ネットワーク型の家族」とおっしゃいましたが、一つの世帯の中の関係性はもとより、その外にある別居親との関係性という点でも同じことが言えそうですね。

別居によって物理的な距離が広がると、心理的にもどうしても遠のいてしまいがちです。そうなると、子どもにとって、サポート源としての親という存在がどんどん小さくなっていってしまう。非常にもったいないことです。失われたものを取り戻すことは難しいですから面会交流を断絶せずに継続することが重要です

ーおっしゃるとおりですね…。でも、親同士の不仲だけであれば母子・父子の個別なつながりを維持できるのがベストとはいえ、DVのようなケースだと会わせにくいですよね。

それでも、子どもにとっては親です。基本的には会わせるという原則のもと、たとえば仲介者同席の上で会うなどの工夫をしてコンタクトを取り続けられるような環境を社会的に整えることが必要でしょう。どうしても危険な状況には別途対応する制度も必要です。

親の離婚によって親子の関係が切れないように社会が応援する仕組みが整備されていないがために、経済的、情緒的な意味合いにおいて子どもの生活が脅かされてしまっている現状があります。

離婚や再婚の選択を否定する議論からは生産的な方向が見えてきません。親自身の人生においてパートナーを変えることはもちろんあってい。ただそれと同時に、子どもの人生を支えていく家族的な資源を奪わないように社会が守っていかなければならない。これらをいかに両立できるかということがこの問題のポイントです。

 

どうやって弱いつながりを作っていけるだろうか?

ーわたしは今、「弱い紐帯」というものに非常に関心があるのですが、親が離婚した子どもたちにとって、別居親は一種の弱い紐帯ですよね。家族という関係性が揺らいでいる今、家族の外にある「弱い紐帯」を持ち得るかが子どもたちの未来を左右するように思います。野沢先生は、社会は子どもたちに対してどのように「弱い紐帯」を提供できるとお考えになりますか?

そうですね。別居親はむしろ強い紐帯でありつづけられたらその方がよいと思います。それよりも、たとえば、SAJのようなステップファミリーの当事者による支援団体が弱い紐帯の提供者になるように思います。「弱い紐帯」は、先に乗り越えた当事者たちが、今苦しんでいる人たちに手を差し伸べられる状態たどり着けたときに、生まれるものかもしれません。

ーなるほど、当事者同士の繋がりも「弱い紐帯」と言えますね。

ステップファミリーもそうですが、大学のプロジェクト(※)として最近関わっている外国にルーツがある子どもたちに関しても、上映会や講演会、シンポジウムなどのイベントを介して当事者が集まり、経験を語り合う様子を何度も目にしてきました。インターネットの普及によって、それを介しても当事者が繋がりあってコミュニティを形成します。そこでは、それぞれがいろんな葛藤を口にして、共有して、そこに独自のつながりが生まれる。自治体がNPO等と提携をして交流の場を作っていけたら、そういう「弱い紐帯」が生まれやすくなるかもしれませんね。

※明治治学院大学「内なる国際化」に関わる人材育成プログラム

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野沢先生、ありがとうございました!

ステップファミリーという家族の一つの姿を通して、家族をつくるのは個と個の関係性であることを強く感じました。家族だから強い紐帯で結ばれていなければならない、同じ強さで繋がり合っていなければならないという思い込みが、家族を縛りつけてしまっているのかもしれません。

ステップファミリーにおける「継親とのフラットな関係性」と、「別居親との継続的な関係性」が両輪で機能することの重要性を知り、子どもたちの周りに多様な紐帯が張り巡らされることの意味を痛感しています。

 

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撮影:さくらい

 

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