すべての家族と、それを支えるすべての人を照らす

おうち、てらす

図に乗っているぐらいがいい

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ファミリーホームという家族のかたちがあります。

これは、5〜6名の子どもたちが里親である養育者のもとで家庭生活を営むもので、平成26年3月末現在で全国に223か所存在しています。

そのなかの一つが、元児童養護施設職員の「とーちゃん」こと田中聡さんが運営する「みらいホーム」。公園のすぐ隣に位置する一軒家で、補助員Nさんの力を借りながら、5人の子どもたち(Tくん・Yくん・Aちゃん・Sくん・Yちゃん)とともに賑やかに暮らしています。

 

そんな一風変わった家族を持つ田中さんに、お話をお聞きしました。

 

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―田中さんは、お一人でファミリーホームを運営していらっしゃるんですよね。

 

僕一人で始めました。周りを見ていると夫婦でやっているところが多いので、うちはやっぱり特殊なんだなとは感じます。

 

―わたしはてっきり夫婦じゃないとできないものだと思っていたので、田中さんに出会えたのはちょっとした希望でした。だって、父と母がいなくちゃ家族と呼べないなんて、不自由じゃないですか。

 

我ながら不思議でしょうがないですけど、こういう形があっていいじゃんって思っています。

 

―いいですよね!

 

でも、男一人でやっていると女性の力の偉大さを痛感しますよ。

 

―そうなんですか?

 

やっぱり、女性にしかないオーラってありませんか? どんなに頑張っても、男性にはつくれないオーラ。

 

―田中さん、すごく優しいオーラを持っているなと初対面のときに思いましたよ。

 

優しいからといっても、でもそれは女性にしかないオーラの代わりにはならなくて、子どもたちに物足りなさを感じさせているんじゃないかって思うんです。ふと自分のことを振り返ると、お母さんの存在の大きさを強く感じるんです。俺、母子家庭だったんですよ。

 

ーそうなんですね。

 

お父さんは小学2年生ぐらいで死んじゃったから、ほとんど記憶がない。それもあってか、お母さんの温かさを感じています。語らずとも、そこにいてくれるだけで安心できる。僕が、女性だからこその安心感に絶対的信頼を置くのはそういう背景があるかもしれません。

 

―男女の夫婦のファミリーホームであれば、相互に自然と補えるという利点がある一方、逆にお一人でやっているからこそ、補助の方をはじめとした多くの大人との出会いを子どもたちに与えられているとも言えますよね。

 

なるほど。ありがとうございます。

 

―お母さんは、どんな方なんですか?

 

僕のやりたいことを「ええよ」って、何でもやらせてくれました。中学のときに人間関係がうまくいかず全部やり直したくて、知り合いが一人もいない私立の高校に行きたいって言ったときも。18歳で一人暮らしをしたいって言ったときも。大学2年生で突然、「専門学校に行きたい」って方向転換をしたときも。「アホか」って言われると思っていたのに、「わかった。ええよ、ええよ」って。

 

ー田中さんのやりたいことを、どこまでも尊重してくれたんですね。

 

だから僕も、子どもたちが「やりたい!」って言うことは一つでも多く聞くようにしています。手も時間も足りないから、全部ってわけにはいかないけれど。

 

ーお母さんがやってくれたように?

 

そうなのかなぁ。抱っこしてって言われれば、小学生のSくんでさえ抱っこします。「甘やかしすぎじゃない?」って意見もあるかもしれないけれど、僕は抱っこが足りていないから言ってくるのかな思うんです。足りていないなら、可能な限り応えようと思っています。

Yちゃんが「横でトントンして」とか「おんぶして」とか。Aちゃんが「ちょっとカーテン閉めて」なんていうのも。

 

ーあれ、なんかうまいように使われていませんか…?

 

一歩間違えれば図に乗っちゃうから、危ないんですよね。でも、図に乗っているぐらいがいいのかなって。子どもたちには、家では充電していてほしいんですよ。玄関を出てから背中伸ばしてほしいから。それで疲れた分は、家で図に乗ってくれても構わないよって。宿題ぐらいはやってほしいけど、手伝いも強要しないし。ある程度任せて、子どもが自立できるように、最低限のルールだけ守ってくれたらいいかなって。

 

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