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小規模保育園にて保育士として勤務する傍ら、NPO法人PIECESの「コミュニティーユースワーカー」として10代ママの支援拠点「もえかんち」を運営されている、塚原萌香さん。

 

▼古民家に集う多様な世代の方たち。コミュニティーユースワーカーが見守っています。1705_4

ーもえかんちではどんなことをされているのですか?

 

板橋にある古民家で、10代ママのサポートを行っています。助産師や社会福祉士の方からの様々な視点もいただいています。具体的には1対1で話をしたり、月に数回集まってお料理や高卒認定資格取得の勉強などを行っています。ママたちに画一的な支援を提供しているのではなく、個々と向き合った関わりをしていますね。

 

ーママたちとはどんな関係性ですか?

 

ほんとうはわたし、「お姉ちゃんのような存在でありたい」って思っていたんです。でも実際は、どちらかというとママの方がしっかりしていて、わたしのほうが面倒見てもらっている場合も…。つかず離れず、フラットな関係で接していった先で、ママが欲していることを引き出して必要な支援に繋げたいです。

 

ー「もえかんち」のネーミングの由来は?

 

ママの心の中におうちのような安心できる場所ができたらなという思いがあって。ママたちの多くが、中絶や虐待を受けた経験を持っています。家にいるのがつらい。かといって家の外に居場所があるわけでもなく、バイト先だけで人間関係が完結している、というのが実態です。人見知りの激しい子も多く、初めて顔を合わせたときにはすごく壁を感じましたが、頻繁に連絡を取り合ううちに少しずつ悩みごとを打ち明けてくれたり、子どもの話をしてくれたり。「はー、むっちゃ嬉しい!」と思いましたね。

 

▼ママが好きなネイルをもえかさんにしてくれている様子1705_5

ーもえかさんの愛を感じます。

 

わたし、大好きなんです。ママに会えることがそれだけで嬉しい。何かしてあげようとかっていうよりも、会ってくれてありがとうという感じ。

 

ー愛が溢れていますね!

 

自分自身も過去に親との関係が悪くて悩んだことがあるので、ママたちと会うことでそれを思い出すこともあるのですが、自分の過去と向き合うきっかけをもらえたなとも思っています。

 

ーご自身の親子関係が今の活動につながっていますか?

 

小学生の頃に両親が離婚し、お父さんが一人で三人姉妹を育ててくれました。一人で抱え込んでしまっていたので、アル中になりかけたり失業したりと、自分を犠牲にしている姿を近くで見てきました。だから「わたしがいなければ…」と自己否定をしてしまうこともあって。親のメンタルって、子どもにも伝わることがあるんですよね。

 

ー親が子どもに与える影響は計り知れないですよね。

 

そうなんです。ずっと悶々とそれを考え続けていました。大学4年のときに児童養護施設のケアの現場で働きました。虐待を受けた経験を持つ子どもたちが、それでも「お母さんがいい」って言うのを聞いて、改めて親子関係の強さを感じたんですよね。知識も経験もないながらも、保育士として幼児教育について学んできたことを生かして、わたしに何かできることはないかと考えて、辿り着いたのがPIECESのコミュニティーユースワーカーでした。

 

ーもえかさんはどうやってご自身の過去を乗り越えることができましたか?

 

お母さんが出て行ったことを強烈に覚えているんです。大切な人が去っていく感覚。今でも苦しいときがあります。ですが、カウンセラーの方に出会ったことが転機になったと思っています。カウンセラーの方は、1年間根気強く向き合い続けてくれて、「一人じゃないよ」と言ってくれました。それがわたしにはインパクトが大きく、他者が介入してくれたことによって棚卸しができたと感じられた経験でした。

 

ー「一人じゃないよ」、大事なメッセージですね。

 

1年間寄り添ってくれたという信頼関係の土壌があってこそ、響いた言葉だったと思います。自分にそういう器があるかはわからないけれど、そういう人になりたいと思いました。

 

ー信頼関係はどんな働きかけによって築くことができると思いますか?

 

一緒に悩んでくれること。その方は、ずっと待っていてくれたんですよね。わたしは過去の話をしていても、まったく感情を出せていなかった。他人事みたいに淡々としていて。「感情を出していいよ」と、でも急かさず待っていてくれた。そういう関わりをしたいです。

 

ー支援をする側になると、早く解決してあげなくちゃと焦りが出てしまいますよね。

 

やっぱり変化を期待してしまう。待つことの難しさを感じます。こちらの焦りがママに伝わって、連絡がつかなくなった時期がありました。これまでわたしはずっと焦って生きてきたので、もっとゆるりゆるりと接していかないといけないなと気づきました。ママと会うことで、わたしも自分自身の心の癖を知って学んでいます。

 

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