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人目気にしいさん、めいっぱい生きる

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「家族」や「ジェンダー」の関心分野が重なって、意気投合したのが3年ほど前のこと。一緒に営業女子向け講座を企画したり、映画の上映会をしたり。今回は、わたしにとってはお姉さん的な存在である「しょうこさん」こと鶴澤翔子さんにインタビューさせていただきました!

 

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ーしょうこさんは「人目気にしいさんのコーチ」としてご活躍されていますね。

 

起業準備中の会社員や営業職の会社員の方々を中心に、個人向けのコーチングを行っています。「人目気にしいさん」というのは、人にどう思われるかが気になりやすく、自分の思った通りに振る舞えなかったり、人にものを頼むのが苦手だったりで一歩を踏み出せずにいる人のことをそう呼んでいます。

 

ーなぜその人たちを対象に?

 

自分がかつて、「人目気にしいさん」だったから。コーチングで起業をしたいと思い立ったときも、周りを見渡すとエリートが多いなかで「大企業の正社員で働くこと」が主流のような気がしていて、自らがフリーで働くという選択をすることに自信が持てなかった。自分で自分のことを疑っていたんです。

 

ー自分で自分を疑っていた?

 

「ただの現実逃避なんじゃないか」とか。もともと無謀なところがあるとは言え、「さすがに無謀が過ぎるんじゃないか」とか。

「周りがこう思っているかもしれない」ことが気になって、「わたしはこれがやりたいんです」って大っぴらに言えない時期がありました。「今何やってんの」って聞かれてもうまく答えられなくて、それがすごく苦しくて。ちょっとずつそれを乗り越えてきた今、同じような境遇にある人がいるんじゃないかと思って「人目気にしいさんのコーチ」を始めました。

 

 

ー「人目気にしいさんのコーチ」として、特にやりがいを感じるのは?

 

毎回、ドラマを見ている感じなんです。コーチングって、わたしが何かを教えるのではなくて、クライアントが自分に向き合って考えられるような環境を整える仕事。対話のなかで気づきを得てもらって、次回話すときにはわたしが想定した答えの斜め上を行くものを持って帰ってきてくださることがあるんです。そういうところに、この仕事の面白さを感じますね。クライアントが答えを持っているんですよね。わたしはその人に何かを「してあげる」のではなくて、その人が自分なりの答えに辿り着けることを信じて待つだけ。人間ってすごいなと思います。

 

ーそもそも「人目気にしいさん」が生まれるのにはどんな社会的背景があると思いますか?

 

わたしのコーチングに興味を持つ方の多くが、わたしの境遇に共感してお越しくださいます。父は九州男児のとても厳しい人で、母は専業主婦。かなり伝統的な家族ですね。父の機嫌を損ねないように、家族みんなが気を遣っている感じでした。家のなかの空気にとても敏感で、察知する能力が培われました。お客さんが来たときは、帰りに玄関に先回りして傘を持って待っているような子どもだったみたいで。

 

ーそれは筋金入りですね。

 

学校では優等生だったし、なまじ勉強もできたので先生に怒られた記憶もほとんどないけれど、家ではすごく怒られました。だからいつも、「わたしって気が利かない人間だな」と思っていました。そんな風に、厳しい家庭で育って強い勢いで怒られる経験を持っている人たちが、大人になってからも誰かに大きな声で怒られるとびくっとなって自分の考えを言えなくなっちゃうんですね。

 

ーそうやって、自分の言葉を伝えることに臆病になってしまう。

 

父はよくわたしに意見を求めるのですが、答えても決して「そうだね」とは言ってくれない。求められている答えがあらかじめ決まっているようでした。そうなると、わたしも「自分がどう思うか」よりも「それが正解なのか」ばかり考えるようになる。正解に合わせにいく癖がついてしまったんです。

 

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ー一方で、しょうこさんは無謀さも持ち合わせているというお話でしたが、「人目気にしい」と「無謀」は両立するものなんでしょうか?

 

そこはわたし自身も最近まで腑に落ちてなかったんですが、結論から言うと両立するんですよね。

 

ー無謀ってどんな感じだったんですか?

 

無謀っていうと聞こえがよろしくないですが、超ポジティブ。高校のときなんかもすごいチャレンジャーで、一目惚れした男の子にいきなり話しかけて、友達になって、「メアド交換してください」と言っちゃうような勢いと暑苦しさのある人でした。苦手の克服にも意欲的で、体育の成績で2がつくくらい運動苦手なのに野球好きが高じてソフトボール部に入ってみたり、数学はセンター試験で20点くらいしか取れないのに数学受験で国立大学目指してみたり。逆境が好きなタイプというか。

 

ー何がしょうこさんを突き動かしたのでしょう?

 

中学のときいじめを受けていたんです。靴を捨てられたり、教科書をのりでベタベタにされたり、授業中ずっと消しゴムを投げつけられ続けたりして、不登校になっちゃって。言いたいことは言えないし、体もずっと緊張しているような、自分が心身ともに縮こまっているような感覚でした。死にたいと思うほど辛かったけれど、あまりにも辛くて、これ以上辛いことはないだろうとも思ったんですよね。これを乗り切れたんだから、どんなことも乗り切れるという自信がつきました。

 

ーどん底を経験したからこそ、大概のことがポジティブに捉えられるようになったわけですね。すごい精神力です。

 

だから、高校に入ってからは何でもやってみるようになりました。やりたいことがいっぱいあって、「人目気にしいさん」としては、それが人にどう思われるかっていうことを考えて立ち止まってしまうんですが、やりたいことをできないでいる自分にすごくフラストレーションを感じるんです。自分らしくいられていない感覚が、かえってエネルギーを消耗させる。「人目気にしいさん」って、案外そういうガツガツやりたい人が多いです。だからこそ、やりたいけどやれないジレンマに苦しみやすいのかもしれません。

 

ーここまで聞いていて、わたしのなかにも「人目気にしいさん」的な要素は多少なりともある気がしているのですが、どうすればそのジレンマから抜け出すことができるのでしょうか?


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